今日は、
「セントラル・クエスチョン(CQ)」~ストーリーの軸になるもの~とは?
というテーマでお届けしたいと思います。
セントラル・クエスチョン(CQ)とは何か?
セントラル・クエスチョン(CQ)とは、
映画や小説、マンガなどにおける、
ストーリー(物語)の軸になる問い
のことです。
「果たして二人は無事に結ばれるだろうか?」
「主人公の探偵は、迷宮入りしたこの事件を解決できるだろうか?」
これらが「セントラル・クエスチョン(CQ)」と呼ばれるものです。
セントラル・クエスチョン(CQ)の3つの型
あらゆるストーリーに必要となるセントラル・クエスチョン(CQ)ですが、
その構造はシンプルに
「主体+目的」
で表すことができます。
つまりCQとは、
「果たして主体は、目的を達成できるだろうか?」
という形で表現されます。
これをもう少し掘り下げていくと、
CQの型は、以下の3つに分けられます。
※以下の型は、書籍「物語の見つけ方」(たちばな やすひと氏)から勉強させていただきました。

【CQ3つの型】
A.主体+目的
B.主体+客体の目的
C.主体+障害
以下、それぞれ説明します。
セントラル・クエスチョン(CQ)タイプA「主体+目的」型
この型は、
「主人公が夢を叶えるまでを追うストーリー(物語)」
と考えると分かりやすいかと思います。
例えば私が好きな漫画の1つである「ワンピース」の
セントラル・クエスチョン(CQ)は、
「果たして、ルフィは海賊王になれるだろうか?」
となると思います。
他にも恋愛の物語であれば、
「果たして○○(主人公)は、片思いのあの人と結ばれるか?」
でしょうし、
スポーツの物語であれば、
「果たして○○(主人公)は、全国大会で優勝できるだろうか?」
といった夢や目的を明示する
セントラル・クエスチョン(CQ)になります。
セントラル・クエスチョン(CQ)タイプB「主体+客体の目的」型
2つ目は、
「主体+客体の目的」型
です。
「客体」とは、主体が行為を働きかける対象
です。
テレビドラマなどで、
医師が病気で苦しんでいる患者さんを救うドラマがありますが、
この場合は、
医師が主体で、患者さんが客体、
という存在になります。
ラブストーリーで言うと、
主人公が想いを寄せる相手が客体、
ということになります。
この場合は、
「果たして主体は、客体の目的を達成できるだろうか?」
というセントラル・クエスチョン(CQ)になります。
テレビドラマで言うと、
『相棒』シリーズなどがこの典型ですね。
こういったストーリでは、一話完結型が多く、
主体が自らの力を生かして無事に目的を果たせた場合、
次の週ではまた新たな客体が登場するので、
ストーリーが続けやすく、
長寿ドラマになりやすいのがこの型の特徴です。
セントラル・クエスチョン(CQ)タイプC「主体+障害」型
セントラル・クエスチョン(CQ)の3つ目の型は、
「主体+障害」
という方です。
主体に障害が降りかかり、
セントラル・クエスチョン(CQ)は
「果たして主体は障害を乗り越えられるだろうか?」
となります。
もちろん、
ストーリー(物語)においては、
「主体+目的」「主体+客体の目的」でも、
障害は必ず立ちはだかりますが、
目的を達成する上での障害ではなく、
先に障害が降ってくることで、
それを乗り越えなければならない状況に追い込まれるのが
この型の特徴です。
よくある映画で言うと、
「宇宙人が襲来して、地球が滅亡しそうになる」
「難病にかかって、命が危うくなる」
などの障害が挙げられます。
セントラル・クエスチョン(CQ)はなぜ必要なのか?
なぜ、物語にこの
「セントラルクエスチョン(CQ)」
が必要なのでしょうか?
それは、物語とは、
「主人公に、どうしても達成したい、手に入れたい、取り戻したいなどの『行動目標』があって、それに向かって主人公が行動を起こす」
その「行動目標」こそが、
「セントラルクエスチョン(CQ)」
だからです。
(果たして主人公は〇〇を達成できるか?)
(果たして主人公は△△を手に入れられるか?)
(果たして主人公は□□を取り戻せるか?)
など。図にすると以下のような感じです。

だから、
セントラルクエスチョン(CQ)がないと、
そもそもストーリー(物語)が成立しない。
単なる事実や出来事の羅列となってしまう。
のです。
実際に、

という本において、著者のリサ・クロン氏は
以下のように述べています。
主人公に、なんとしても欲しいもの、いつかは実現すると信じている望みがなければ、起こる物事も行き当たりばったりに見え、何が進んでいるとも感じられないだろう。
主人公が何を求めているか、あるいは主人公の抱える問題がなんなのかわからなければ
(中略)
やってくる出来事の連鎖、すなわち物語そのものをイメージすることが不可能になる。
アメフトの試合を見ているのに、ルールもわからない、どうすれば得点になるのかもわからない、
これがゲームなのかもよくわからないというのと同じことだ。
これがまさに、
セントラルクエスチョンが必要な理由、
ということです。
セントラル・クエスチョン(CQ)において大切なポイント
僕は映画や小説、ドラマ、漫画などを見たり読んだりする際、
「このストーリー(物語)のセントラルクエスチョン(CQ)は何か?」
ということをまずは把握しようとしますが、
(この物語の「軸」は何なのか?」)
そのセントラルクエスチョン(CQ)自体には
以下の3つの要素が含まれていることが大切と考えています。
この3つの要素がないと、
視聴者や読者がそのストーリーを追っていきたいと思えずに、
途中で離脱してしまうからです。
以下、記載します。
「応援したいもの」であるかどうか
タイプA「主体+目的」型、すなわち
「主人公が夢を叶えるまでを追うストーリー(物語)」
に特に欠かせないポイントですが、
(もちろん、タイプBもCにも欠かせませんが)
「セントラル・クエスチョン(CQ)が他者から応援されるものである必要がある」
ということです。
例えば、
「果たして主人公は、お金持ちになって、六本木ヒルズに住んで、毎晩パーティー三昧の日々を送れるだろうか?」
というセントラル・クエスチョン(CQ)のストーリーって、
そんなに見たい、読みたいとは思わないですよね(笑)。
(例えば、病気によって生活の糧を失い、
ホームレスになってしまった主人公などであれば
少し見方も変わるかと思いますが、
その場合でも、もう少し共感できるCQを立てて欲しいです笑)
「切実なCQ」であるかどうか
また、セントラル・クエスチョン(CQ)は、
「主人公にとってどうしても成し遂げたい切実なもの」
であることも重要です。
それほど必死に、
どうしても達成したい想いが描かれれば、
その切実さに人は共感し、惹きつけられて、
ストーリー自体に魅力が宿ってきます。
主人公の「Why?」が描かれているか
3つ目は、
「なぜ主人公は、そのセントラル・クエスチョン(CQ)を達成したいのか」
という
「Why?」
が、という点です。
ビジネスなどで使われる概念に、
「ゴールデンサークル理論」
というのがあるのですが、
それは、
「何をするのか」ではなく
「なぜするのか」を語ることが共感を生み、人の行動を促すという理論
というものです。

これはストーリー(物語)にも当てはまると考えています。
主人公の「Why?」に共感できればできるほど、
物語は人を惹きつける力を持ちます。
「主人公の行動の動機」
にもなるのですが、
この「Why?」は主人公の成長と共に、
「変化」
していくのも面白く感じたりします。
例えば「スラムダンク」は、
主人公の桜木花道がバスケ部に入って成長し、活躍する物語ですが、
最初、桜木花道は、
「一目ぼれしたメインヒロインの赤木晴子に気にいられるため」
というちょっと不純な(笑)動機からバスケ部に入ります。
それがだんだんとバスケットボールの面白さに目覚め、
自分が成長していくことに喜びを感じるようになり、
「どうしても試合に勝ちたい」
ためにバスケを命がけで練習し、
命がけで試合に臨むようになります。
いわゆる「Why?」が変化していくわけですが、
そういう
「Why?の変遷の過程」
を見ていくのも、ストーリーを楽しむ観点の1つかな、
と思っています。
まとめ:セントラル・クエスチョン(CQ)を探ってみよう
まだまだ奥の深い
「セントラルクエスチョン(CQ)」
ですが、ストーリー(物語)を見たり読んだりする時に、
「何がCQになっているんだろう?」
と考えていくと、
それをきっかけに
様々な人生の学びが見つかったりしますので、
ぜひその視点からも見てみると良いかと思います^^
それではここまでお読みいただきありがとうございました^^