「ハローワークから障害者雇用計画書(雇い入れ計画書)の作成命令が出た!」
そんな中小企業の障害者雇用ご担当者様のために、計画書作成の具体的な手順から注意点までを徹底解説します。
本記事を読めば、期限内に適切な計画書を作成・提出する方法が分かりますのでぜひ最後までご覧ください。
弊協会・一般社団法人心のメンテナンス協会は、障害者雇用計画書(雇い入れ計画書)無料作成支援サービスを行っております。まずはこちらよりお気軽にお問合せください。
1. 障害者雇用計画書(雇い入れ計画書)とは?
障害者雇用計画書は、法定雇用率を満たしていない企業に対して、具体的な障害者雇用の計画を示すよう求める文書です。
障害者雇用促進法に基づき、ハローワークから作成を命じられます。
この計画書は、単なる形式的な書類ではなく、企業の障害者雇用に対する具体的な実行計画として重要な意味を持ちます。
計画書の法的位置づけは?
障害者雇用促進法第46条に基づき、計画書の作成が命じられます。この法的根拠により、計画書の提出は単なる努力義務ではなく、法的な義務となります。
提出を怠ったり、計画の実施を著しく怠ったりした場合には、企業名の公表等の行政措置の対象となる可能性があります。そのため、実現可能な計画を立て、確実に実行することが求められます。
計画書に含まれる主な内容
計画書の作成にあたっては、以下の項目について具体的かつ実現可能な計画を立案する必要があります。
特に採用から定着までの一貫した支援体制を示すことが重要です。
①雇用する障害者の人数と種類(身体障害、知的障害、精神障害等)
採用を予定する障害者の人数と、障害種別ごとの内訳を記載します。
障害の種類によって必要な配慮や適性が異なるため、自社の業務内容や職場環境を考慮した計画が求められます。
また、重度障害者はダブルカウントされる点も考慮に入れましょう。
②採用予定時期と採用方法
具体的な採用時期と、どのような方法で採用活動を行うかを記載します。
特別支援学校の卒業時期や、ハローワーク、就労支援機関との連携方法なども含めて検討します。
実現可能な採用スケジュールを立てることが重要です。
③配置予定の職務内容と勤務条件
配属予定の部署や具体的な業務内容、勤務時間などを記載します。
障害特性に応じた業務の切り出しや、必要な配慮事項(通勤への配慮、休憩時間の設定など)についても具体的に示す必要があります。
④雇用環境の整備計画(施設改修、支援機器の導入等)
職場環境の整備計画を具体的に記載します。
必要な施設改修や支援機器の導入について、実施時期や予算も含めた計画を立てます。
各種助成金の活用も検討しましょう。
⑤達成までの具体的なスケジュール
採用から職場定着までの工程表を時系列で示します。
社内体制の整備、採用活動、職場環境の改善など、具体的なマイルストーンを設定することが重要です。
⑥支援体制の整備計画
社内の支援体制について、具体的な計画を立てます。指導担当者の選任や、社内研修の実施計画、外部支援機関との連携方法などを記載します。
2. 障害者雇用計画書(雇い入れ計画書)の作成命令が出される理由と対応方法
ハローワークは、以下のような状況にある企業に対して作成命令を出します。
複数の条件に該当する場合は、特に早急な対応が求められます。
命令が出される具体的な条件は?
以下のような状況で、ハローワークから作成命令が出されます。
①法定雇用率(2024年現在、2.5%)を下回っている状態が継続
単に法定雇用率を下回っているだけでなく、その状態が一定期間続いている場合に対象となります。
特に、改善の兆しが見られない場合は、より厳しい指導の対象となる可能性があります。
②障害者の雇用義務数に対し、実雇用数が著しく少ない(50%未満など)
法定雇用率から算出される雇用義務数に対して、実際の雇用数が大きく下回っている場合です。
特に実雇用率が50%未満の場合は、優先的に指導の対象となることが多いです。
③過去の指導にもかかわらず改善が見られない
ハローワークからの指導や助言を受けているにもかかわらず、具体的な改善行動が見られない場合です。
この場合、より厳格な対応を求められる可能性があります。
④前年度からの改善計画が未達成
過去に提出した計画書の目標が達成できていない場合です。計画の実現可能性や実施状況の説明を求められることがあります。
⑤新規に雇用義務が発生したにもかかわらず、対応が不十分
従業員数の増加などにより新たに雇用義務が発生した企業で、適切な対応ができていない場合です。早期の対応計画の策定が求められます。
命令を受けた直後の対応手順は?
①社内での現状確認
まずは自社の現状を正確に把握することが重要です。これが適切な計画立案の基礎となります。
◆現在の従業員数の精査
パートタイム労働者を含む全従業員数を、雇用形態ごとに正確に集計します。
雇用率算定の基礎となる重要な数字なので、慎重な確認が必要です。
◆実雇用率の正確な算出
現在の障害者雇用数から実雇用率を算出します。重度障害者のダブルカウントや短時間労働者の計算方法にも注意が必要です。
◆不足数の具体的な把握
法定雇用率達成に必要な障害者雇用数と現在の雇用数との差を正確に把握します。これが今後の採用計画の基礎となります。
②初期対応の実施
現状把握後は、速やかに対応体制を整えます。
◆ハローワークへの連絡と相談
作成命令を受けた後、まずはハローワークに連絡を取り、必要な手続きや期限について確認します。分からない点があれば、この段階で相談することをお勧めします。
◆社内関係部署への情報共有
人事部門だけでなく、配属予定部署や経営層など、関係する部署に情報を共有します。全社的な取り組みとして認識を共有することが重要です。
◆計画書作成チームの編成
計画書作成の責任者を決め、必要に応じて関係部署からメンバーを集めてチームを編成します。実務的な検討と意思決定がスムーズに行える体制を作ります。
③スケジュール管理
計画的な対応のため、具体的なスケジュールを立てます。
◆提出期限の確認(通常2週間以内)
ハローワークから指定された提出期限を確認し、社内での作業スケジュールを逆算して立てます。通常は2週間以内とされていますが、状況に応じて変更される場合もあります。
◆社内での承認プロセスの確認
計画書の作成から提出までに必要な社内承認プロセスを確認し、スケジュールに組み込みます。特に役員会等での承認が必要な場合は、日程調整が重要です。
◆必要に応じた期限延長の相談
設定された期限内での提出が困難な場合は、早めにハローワークに相談します。正当な理由がある場合は、期限延長が認められることもあります。
作成命令への対応体制づくり
スムーズな計画作成と実施のため、適切な体制を整えます。
◆責任者の明確な設定
計画書作成の責任者を明確に定めます。通常は人事部門の管理職クラスが担当しますが、企業規模や状況に応じて適切な人材を選定します。
◆関係部署との連携体制の構築
人事部門、配属予定部署、総務部門など、関係する部署との連携体制を構築します。
各部署の役割と責任を明確にし、スムーズな情報共有と意思決定ができる体制を整えます。
◆外部専門家(障がい者雇用コンサルタント等)への相談検討
必要に応じて、障害者雇用の専門家に相談することも検討します。特に初めての計画書作成の場合は、専門家のアドバイスが有効です。
◆準備すべき資料の確認
計画書作成に必要な資料(従業員名簿、障害者手帳の写し、過去の雇用状況資料など)をリストアップし、収集を開始します。
不足している資料があれば、早めに準備を進めます。
3. 障害者雇用計画書(雇い入れ計画書)作成の具体的な手順と記入例
計画書の作成は、以下の4つのステップに分けて進めていくことをお勧めします。各ステップで十分な検討を行うことで、実現可能な計画を立案することができます。
STEP1:現状分析
詳細な現状把握が計画書作成の基礎となります。正確なデータに基づいて計画を立てることで、実現可能な目標設定が可能になります。
基本データの収集
まずは、自社の現状を数値で正確に把握します。
◆従業員数の確認
現在の従業員状況を正確に把握することが、計画立案の出発点となります。
・常時雇用労働者数 正社員だけでなく、契約社員や継続して雇用されているパートタイム労働者も含めて確認します。雇用形態ごとの人数を正確に把握することが重要です。
・パート・アルバイトの計算方法 週20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人としてカウントされます。この計算を誤ると実雇用率の算出にも影響するので、特に注意が必要です。
・除外率の適用確認 業種によって適用される除外率が異なります。自社の業種に適用される除外率を確認し、正確な算定を行います。
◆実雇用率の算出
現在の実雇用率を正確に計算します。この数値が今後の計画の基準となります。
・障害者の雇用状況 現在雇用している障害者の数と、それぞれの障害種別、等級を確認します。
・重度障害者のダブルカウント 重度身体障害者や重度知的障害者は1人を2人としてカウントされます。また、重度の短時間労働者は1人としてカウントされる点にも注意が必要です。
・短時間労働者の計算 障害のある短時間労働者(週20時間以上30時間未満)は、0.5人としてカウントされます。重度障害者の場合は1人としてカウントされます。
◆不足数の正確な把握
法定雇用率達成までに必要な雇用数を算出します。
・法定雇用障害者数の算出
⇒従業員数から法定雇用率(2024年現在、2.5%)に基づいて、必要な障害者雇用数を算出します。
・現在の雇用障害者数との差異
⇒算出した法定雇用障害者数と現在の実雇用数との差を確認します。この差が、これから採用が必要な人数となります。
STEP2:採用計画の策定
実現可能な採用計画を具体的に立案します。市場の状況や自社の受け入れ体制を考慮しながら、現実的な計画を立てることが重要です。
採用計画の要素
◆採用予定人数の設定
不足数に基づいて、具体的な採用計画を立てます。一度に多くの採用を目指すのではなく、段階的な採用を検討することをお勧めします。
◆段階的な採用計画
受け入れ体制の整備状況に合わせて、無理のない採用スケジュールを立てます。
◆障害種別ごとの採用目標
職場環境や業務内容を考慮し、受け入れ可能な障害種別を検討します。
◆採用時期の分散化検討
一度に多くの方を採用するのではなく、計画的な採用スケジュールを立てます。
◆採用方法の検討
具体的な採用ルートを検討します。
・ハローワークの活用
⇒障害者専門の職業相談員に相談し、適切な人材紹介を受けることができます。
・就労支援機関との連携
⇒地域の就労支援機関と連携することで、職場実習なども含めた採用方法を検討できます。
・特別支援学校からの採用
⇒新卒採用を検討する場合は、特別支援学校との連携も効果的です。
◆募集から採用までのスケジュール
具体的な採用プロセスを時系列で計画します。
・募集開始時期
⇒求人票の提出や募集開始の時期を設定します。
・選考プロセス
⇒面接や職場実習など、選考方法を具体的に計画します。
・内定時期
⇒採用時期に合わせて、適切な内定時期を設定します。
・・・etc.
STEP3:職務・配置計画
具体的な職務内容と配置計画を策定します。障害特性に配慮しながら、働きやすい環境づくりを計画します。
職務設計のポイント
◆配置部署の選定
適切な配置先を検討します。
・部署ごとの業務分析
⇒各部署の業務内容を分析し、適切な職務の切り出しを行います。
・切り出し可能な業務の特定
⇒定型的な業務や補助的な業務など、切り出し可能な業務を具体的にリストアップします。
◆具体的な業務内容
職務内容を具体的に設計します。
・定型業務の切り出し
⇒データ入力や書類整理など、定型的な業務を整理します。
・デジタル業務の検討
⇒PCを使用した業務など、デジタル関連の業務も検討します。
・補助的業務の整理
⇒各部署での補助的な業務を整理し、職務として確立します。
・新規業務の創出検討
⇒必要に応じて、新たな業務の創出も検討します。
◆勤務条件の設定
働きやすい環境づくりのため、適切な勤務条件を設定します。
・勤務時間・休憩時間
⇒障害特性に配慮した勤務時間や休憩時間を設定します。
・通勤への配慮
⇒通勤時間や通勤手段について配慮します。
・給与・待遇
⇒適切な給与水準や待遇を設定します。
STEP4:支援体制の整備
円滑な職場定着のための体制を計画します。採用後の定着支援は特に重要です。
支援体制の構築
◆指導担当者の選任
職場での支援体制を整えます。
・専任担当者の配置
⇒障害者雇用の担当者を選任し、必要な教育を行います。
・部署内サポート体制
⇒配属先での支援体制を整備します。
・バックアップ体制
⇒休暇時の対応など、バックアップ体制も整えます。
◆社内研修の計画
必要な研修を計画します。
・管理職向け研修
⇒障害者雇用に関する基礎知識や管理のポイントについて研修を行います。
・同僚向け研修
⇒職場での接し方や配慮点について研修を行います。
・当事者向け研修
⇒業務に必要なスキルや職場でのルールについて研修を行います。
◆専門家との連携
外部の支援も活用します。
・ジョブコーチの活用
⇒職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を検討します。
・医療機関との連携
⇒必要に応じて、医療機関との連携体制を整えます。
・支援機関との協力体制
⇒地域の就労支援機関との継続的な連携体制を構築します。
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4. 障害者雇用計画書(雇い入れ計画書)記入時の注意点とポイント
計画書の記入は、形式的な書類作成ではなく、今後の障害者雇用を具体的に示す重要な過程です。以下のポイントに注意して、正確かつ実現可能な計画を記載しましょう。
基本情報の記入
正確な情報記入が計画の基礎となります。一見単純な基本情報の記入でも、細心の注意を払って記入することが重要です。
記入の具体的ポイント
◆企業情報
会社の基本情報は、公的書類と完全に一致している必要があります。
・正確な企業名・所在地
⇒登記簿謄本と一致した正式名称を使用します。本社所在地など最新の情報を確認してください。
・代表者名・担当者名
⇒代表者は現在の代表取締役等を記載。担当者は実務上の責任者を記載します。
・連絡先情報
⇒日中確実に連絡が取れる電話番号とメールアドレスを記載します。
◆現在の雇用状況
現状を正確に把握し、記載することが重要です。
・従業員数の内訳
⇒雇用形態ごとの人数を正確に記載。短時間労働者は別枠で明記します。
・障害者雇用の実績
⇒現在雇用している障害者の数、障害種別、等級を正確に記載します。
・過去の取り組み状況
⇒これまでの採用活動や職場環境整備の取り組みを具体的に記載します。
◆不足数の計算
計算式を再確認し、正確な数値を記載します。
・計算式の確認
⇒法定雇用障害者数の算出方法を再確認し、計算ミスを防ぎます。
・小数点以下は切り捨て
⇒「不足人数7.6名」と算出された場合は、小数点以下は切り捨てて必要雇用人数は7名です。
・除外率の適用
⇒業種別の除外率を確認し、正しく適用します。
実現可能な計画立案
実現可能性を十分に検討した計画を立案することが重要です。過度に理想的な計画は、かえって信頼性を損なう可能性があります。
計画立案のポイント
◆採用計画
現実的な採用計画を立案します。
・市場状況の考慮
⇒地域の求職者の状況や、採用可能性を考慮して計画を立てます。
・段階的な目標設定
⇒一度に多くの採用を目指すのではなく、段階的な目標を設定します。
・具体的な採用手法
⇒ハローワークや就労支援機関との連携など、具体的な採用方法を記載します。
◆スケジュール
無理のない実施スケジュールを設定します。
・実現可能な期間設定
⇒社内の受け入れ体制の整備に必要な期間を考慮します。
・マイルストーンの設定
⇒具体的な達成目標を時期ごとに設定します。
・進捗管理方法
⇒計画の進捗を確認する方法や時期を明確にします。
◆環境整備(必要な設備投資)
必要な環境整備について具体的に記載します。
・社内体制の整備
⇒社内の支援体制や指導体制の整備計画を記載します。
・教育訓練計画
⇒従業員への研修や、障害者本人への教育訓練計画を記載します。
よくある記入ミスと対策
記入ミスを防ぐためのチェックポイントです。提出前に必ず確認しましょう。
主な記入ミス
◆計算式の誤り
数値に関する誤りは重大な問題となります。
・雇用率の計算ミス
⇒計算式を再確認し、電卓での確認も行います。
・人数のカウントミス
⇒重度障害者のダブルカウントや短時間労働者の計算を正確に行います。
・小数点の処理ミス
⇒端数処理の規則に従って適切に処理します。
◆実現困難な計画
非現実的な計画は避けるべきです。
・過度な採用目標
⇒市場状況や自社の体制を考慮した現実的な目標を設定します。
・無理なスケジュール
⇒準備期間や社内調整に必要な時間を十分に考慮します。
・曖昧な方法論
⇒具体的な実施方法や手順を明確に記載します。
◆具体性の不足
抽象的な記載は避け、具体的な内容を記載します。
・抽象的な表現
⇒「努めます」「検討します」などの曖昧な表現は避け、具体的な行動計画を記載します。
・数値目標の欠如
⇒可能な限り具体的な数値目標を設定します。
・実施方法の不明確さ
⇒どのように実施するか、具体的な方法を明記します。
5. 障害者雇用計画書(雇い入れ計画書)提出後の流れと対応
計画書の提出はゴールではなく、むしろスタートです。提出後の対応や進捗管理が、計画の実現に向けて重要となります。
以下のポイントに注意して、計画的に進めていきましょう。
計画書提出後の手続き
提出後も継続的なフォローアップが必要です。ハローワークとの連携を密にしながら、着実に計画を実行していきます。
提出後の流れ
◆ハローワークでの内容確認
提出した計画書の内容について、ハローワークでの確認が行われます。
・記載内容の確認
⇒計画の実現可能性や具体性について、詳細な確認が行われます。特に数値目標やスケジュールについては、根拠の説明を求められることがあります。
・追加資料の要求対応
⇒必要に応じて、計画の裏付けとなる追加資料の提出を求められる場合があります。スムーズな対応ができるよう、関連資料は事前に準備しておくことをお勧めします。
・修正指示への対応
⇒内容に不備や不明確な点がある場合は、修正の指示が出されます。指摘された点について、迅速かつ丁寧に対応することが重要です。
◆計画の承認プロセス
計画書の内容について、段階的な確認と承認が行われます。
・内容の審査
⇒計画の実現可能性や具体性について、詳細な審査が行われます。特に、過去に計画未達成の経験がある企業は、より慎重な審査の対象となることがあります。
・必要に応じた修正
⇒審査の過程で修正が必要となった場合は、ハローワークの助言を受けながら適切な修正を行います。この際、社内での再検討や承認が必要になる場合もあります。
・最終承認
⇒すべての確認と修正を経て、最終的な承認が行われます。承認後は、計画に基づいた着実な実行が求められます。
◆実施状況の報告準備
計画の実施状況について、定期的な報告が必要です。
・進捗管理方法の確立
⇒計画の進捗を効果的に管理できる仕組みを整えます。具体的な指標や確認方法を決めておくことが重要です。
・報告資料の作成
⇒定期報告に必要な資料の様式や内容を確認し、効率的に作成できる体制を整えます。
・報告時期の確認
⇒報告が必要な時期を確認し、スケジュール管理を行います。特に重要な節目での報告は、事前の準備が重要です。
フォローアップ体制
計画の実効性を高めるための継続的な取り組みが重要です。PDCAサイクルを意識した管理体制を構築しましょう。
フォローアップのポイント
◆進捗管理
計画の進捗を適切に管理し、必要に応じて調整を行います。
・定期的なチェック
⇒月次や四半期ごとなど、定期的な進捗確認の機会を設けます。形骸化を防ぐため、具体的な確認項目を設定することが重要です。
・数値による管理
⇒可能な限り数値化された指標を用いて進捗を管理します。例えば、採用面接実施数や職場実習受入れ数など、具体的な数値で管理することで、客観的な評価が可能になります。
・課題の早期発見
⇒進捗状況を確認する中で、計画との乖離や新たな課題が見つかった場合は、早期に対応策を検討します。
◆問題発生時の対応
問題が発生した際の対応手順を明確にしておきます。
・相談窓口の明確化
⇒社内外の相談窓口を明確にし、問題発生時に迅速な対応ができる体制を整えます。特にハローワークとの連絡窓口は常に明確にしておくことが重要です。
・対応手順の確立
⇒問題の種類別に、具体的な対応手順を定めておきます。特に採用計画の遅れや職場定着の課題など、想定される問題については事前に対応手順を決めておくことをお勧めします。
・記録の保管
⇒問題の内容や対応状況について、適切に記録を残します。これは今後の改善活動や報告の際の重要な資料となります。
◆計画の見直し
状況の変化に応じて、適切に計画を見直します。
・定期的な評価
⇒四半期ごとなど、定期的に計画の妥当性を評価します。形式的な評価ではなく、実態に即した評価を心がけましょう。
・必要な修正
⇒評価結果に基づき、必要に応じて計画の修正を検討します。修正が必要な場合は、早めにハローワークに相談することが重要です。
・新たな目標設定
⇒計画の進捗状況や環境の変化に応じて、必要な場合は新たな目標を設定します。ただし、安易な目標の下方修正は避け、達成に向けた具体的な対策を検討することが重要です。
6 . 障害者雇用における支援制度の活用について
障害者雇用を進めるにあたって、様々な公的支援制度(助成金など)を活用することで、企業の負担を軽減することができます。
これらの制度を効果的に活用することで、より円滑な障害者雇用の実現が可能となります。
各種助成金の活用
利用可能な助成金制度について解説します。各制度には申請期限や支給要件があるため、事前に十分な確認が必要です。
主な助成金
障害者を新たに雇用する際に活用できる代表的な助成金です。
・支給対象
⇒ハローワーク等の紹介により、障害者を新たに雇用した場合に支給されます。
・支給額
⇒障害の程度や企業規模によって支給額が異なります。重度障害者や精神障害者の場合は、より高額の助成が受けられます。
・支給期間
⇒6ヶ月ごとの支給となるため、適切な支給申請の管理が必要です。
試行的な雇用から始める場合に活用できる制度です。
・制度の特徴
⇒最長3ヶ月間の試行雇用期間中、月額最大4万円が支給されます。
・活用のメリット
⇒お互いの適性を確認でき、その後の継続雇用にもつながりやすい制度です。
・申請手続き
⇒事前にハローワークでの手続きが必要です。計画的な活用を検討しましょう。
職場定着のための支援に活用できる助成金です。
・対象となる取り組み
⇒職場支援員の配置や職場復帰支援、正規雇用転換など、様々な取り組みが対象となります。
・支給要件
⇒それぞれの助成金コースによって要件が異なるため、事前の確認が重要です。
・活用のポイント
⇒長期的な職場定着を見据えた計画的な活用が効果的です。
職場環境の整備に活用できる助成金です。
・対象設備
⇒作業施設や設備の設置・整備、福祉施設の設置などが対象となります。
・支給額
⇒対象経費の一定割合が支給されます。上限額は設備の種類によって異なります。
・申請タイミング
⇒工事や購入の前に、必ず事前の申請が必要です。
専門家支援の活用
外部専門家による支援の活用方法です。専門家の知見を活用することで、より効果的な障害者雇用が実現できます。
活用可能な支援
職場適応援助者(ジョブコーチ)による直接的な支援制度です。
・支援内容
⇒職場での作業手順の習得支援や、職場内のコミュニケーション支援などを行います。
・支援期間
⇒標準的には2~4ヶ月程度の期間で集中的な支援が受けられます。
・活用のメリット
⇒専門家による体系的な支援により、円滑な職場適応が期待できます。
企業に雇用される職場適応援助者への支援制度です。
・役割
⇒社内での継続的な支援体制を構築する際の中心的な役割を担います。
・支援内容
⇒障害特性に応じた職務の切り出しや、職場環境の調整などを行います。
・育成支援
⇒養成研修の受講支援など、援助者の育成に関する支援も受けられます。
専門的な支援機関としての活用が可能です。
・提供サービス
⇒職業評価、職業準備支援、職場適応支援など、多様なサービスを提供しています。
・活用方法
⇒採用前の相談から採用後の定着支援まで、継続的な支援を受けることができます。
・連携のポイント
⇒地域の職業センターと早めに関係構築を行うことをお勧めします。
地域の就労支援機関との連携も効果的です。
・支援内容
⇒職場実習の調整や定着支援など、地域に密着した支援を受けられます。
・活用のメリット
⇒地域の支援ネットワークを活用した、きめ細かな支援が期待できます。
・連携方法
⇒地域の就労支援機関に相談し、企業のニーズに合った支援を検討します。
7. よくある質問と回答
採用に関する質問
Q1: 障害者雇用計画書の提出を怠るとどうなりますか?
A1: 企業名の公表や、勧告・企業名の公表などの行政措置の対象となる可能性があります。また、雇用率達成に向けた改善命令が出される場合もあります。
Q2: 計画通りに採用できない場合はどうすればよいですか?
A2: 早めにハローワークに相談し、計画の修正について協議することが重要です。採用活動の状況や課題を具体的に説明し、実現可能な計画への修正を検討します。
Q3: どの程度の期間で計画を立てるべきですか?
A3: 通常1~3年程度の期間で計画を立てることが一般的です。ただし、企業規模や業種、現状の雇用率などによって適切な期間は異なります。
職場定着に関する質問
Q4: 職場定着のために特に注意すべき点は?
A4: 以下の点に特に注意が必要です:
・適切な業務設計と配置
・定期的なフォローアップ
・職場の理解促進
・コミュニケーション支援
・必要な配慮の提供
Q5: 社内の理解を得るには?
A5: 以下の取り組みが効果的です:
・管理職向け研修の実施
・成功事例の共有
・段階的な受け入れ
・オープンな情報共有
制度に関する質問
Q6: 施設改修は必須ですか?
A6: 障害の種類や程度によって必要な改修は異なります。採用計画に応じて必要な改修を検討し、助成金等の支援制度も活用できます。
Q7: 他社との連携は可能ですか?
A7: 特例子会社の設立や事業協同組合等での共同雇用など、様々な連携方法があります。詳細はハローワークに相談することをお勧めします。
まとめ
障害者雇用計画書の作成は、企業にとって単なる法的義務以上の重要な意味を持ちます。
この機会を活かして、持続可能な障害者雇用の仕組みを構築していくことが重要です。
計画作成のポイント
本記事で解説した内容を参考に、以下の点に特に注意して計画を立案してください:
現状を正確に把握し、実現可能な目標設定を行う
・法定雇用率や現在の雇用状況を正確に把握
・市場状況や自社の体制を考慮した目標設定
・具体的な数値目標の設定
段階的な採用計画と具体的な実施スケジュールを立てる
・具体的なマイルストーンの設定
・実現可能な期間設定
職場環境の整備と社内の受け入れ体制づくりを計画的に進める
・必要な設備投資の計画
・社内研修の実施計画
・指導担当者の選任と育成
支援制度や専門家の活用を積極的に検討する
・各種助成金の活用
・ジョブコーチ支援の利用
・地域の支援機関との連携
定期的な進捗確認と必要に応じた計画の見直しを行う
・具体的な進捗管理方法の確立
・課題の早期発見と対応
・柔軟な計画の修正
今後の展望
障害者雇用は、企業の社会的責任であると同時に、多様な人材の活用による企業価値の向上にもつながります。
企業価値向上のポイント
・多様な視点や働き方の導入
・職場のバリアフリー化による全従業員の働きやすさ向上
・社会貢献による企業イメージの向上
持続可能な雇用に向けて
・長期的な視点での人材育成
・継続的な職場環境の改善
・支援体制の充実と定着支援の強化
計画書の作成を機に、長期的な視点での障害者雇用の推進と、誰もが働きやすい職場づくりを目指していきましょう。
参考リンク
弊協会・一般社団法人心のメンテナンス協会は、障害者雇用計画書(雇い入れ計画書)無料作成代行サービスを行っております。まずはこちらよりお気軽にお問合せください。
※こちらの動画も参考動画としてご覧ください。