用語集(助成金・法定雇用率etc.)

2024年最新!障害者雇用率制度と法定雇用率の計算方法は?企業の対策も!

障害者雇用率制度とは、企業が一定の割合で障害のある方を雇用することを義務付ける制度です。

この制度は、障害者の社会的な自立と共生社会の実現を目指し、国が定めた法定雇用率を基に計算されます。

2024年4月に引上げがされましたが、2026年にかけてもさらに、この法定雇用率は上がる予定です。

企業にとっては対応が必要不可欠であり、特に中小企業には適切な対策が求められています。

本記事では、制度の基本から最新の計算方法、企業が取るべき具体的な対策までを詳しく解説します。

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障害者雇用率制度とは?基本的な仕組みを解説

障害者雇用率制度は、企業が障害のある方を一定の割合で雇用することを義務付けた仕組みです。

これは障害者が働く機会を増やし、企業と社会が障害者の自立を支えるための大切な施策とされています。

2024年の最新情報に基づき、以下で制度の成り立ちや法定雇用率の基本情報を詳しく見ていきましょう。

障害者雇用率制度の背景

日本では、1960年に「身体障害者雇用促進法」が制定され、これが現在の「障害者雇用促進法」の前身とされています。

障害者雇用の義務化は1976年の法改正により始まり、当初の法定雇用率は1.5%でした。

その後、徐々に雇用率が引き上げられ、現在の民間企業に対する法定雇用率は2.5%(2024年4月~)に達しています。

障害者雇用率の達成状況は社会全体の取り組みを反映するもので、企業がこの制度に取り組むことは、社会的な責任を果たすことにもつながります。

このようにして、障害者雇用は単なる法律の遵守にとどまらず、企業が社会に貢献するための重要な役割を担っているのです。

法定雇用率の歴史と現在の数値

法定雇用率は、過去数十年にわたって段階的に引き上げられています。

2024年4月、民間企業での法定雇用率が2.5%に設定され、さらに2026年7月には2.7%まで引き上げられます。

この法定雇用率の引き上げにより、より多くの企業が障害者雇用の義務を果たす必要が生じ、社会全体での障害者の雇用促進が図られます。

(ちなみに現在の障害者雇用の総数は約63万人で、毎年2万人ずつくらいの増加をしていました。

しかし法定雇用率2.7%に達するには、さらに10万人の障害者雇用が「あと2年で」必要な計算となります。)

また、この数値の引き上げにより、従業員規模が40人以上だった適用基準も、2026年には37.5(38)人以上の企業にも適用されるようになります。

企業にとって、法定雇用率の引き上げへの対応は不可欠です。

特に中小企業にとってはかなりの対策準備が必要になります。

自社の雇用率を常に確認し、必要な対応策を講じることで、制度に対する理解を深め、障害者の雇用に貢献することが求められているのです。

障害者の法定雇用率は段階的に引き上げられる

ここでは、最新の引き上げ計画とそれに対応するための具体的な対策について、さらに解説します。

2026年の段階的な引き上げ計画

2023年1月、厚生労働省は第123回労働政策審議会において、法定雇用率を段階的に引き上げる計画が発表されました。

この計画に基づき、(何度も書きますが)法定雇用率は2024年4月に2.5%に引き上げられ、さらに2026年度には2.7%になる予定です。

これは完全に個人的な推測ですが、日本には障害者は約1,164万人います。そのうち障がい者雇用で働いている方が約63万人です。

もちろん、障害者の方でも一般雇用枠で働いているケースもありますが、その数は限られるであろうことを考えると、

この先もまだまだ法定雇用率は高まるのではないでしょうか。

ちなみにドイツやフランスは法定雇用率は5%で、従業員数20人以上の企業が対象になっているそうです。

近い将来、これらの水準まで行くのではないかと個人的には予想しています。

ますます、障害者の自立の支援・共生社会の実現を目指して突き進んでいくでしょう。

各企業は今後もより多くの障害者を雇用することが求められ、具体的な対応策や計画を進めることが急務となることは確実です。

中小企業に求められる対応と課題

法定雇用率の引き上げは、大企業のみならず中小企業にも大きな影響を与えます。

特に、中小企業にとって障害者の雇用を維持するためのコストや労力が負担となる場合も少なくありません。

例えば、障害者に適した職場環境の整備や、社内教育の充実が求められるため、準備が不足している企業にとっては大きな課題となります。

そのため、中小企業も今から準備を進め、必要な助成金の活用や障害者社員の受け入れ体制を検討していく重要です。

障害者雇用に関するサポート制度を活用し、コスト負担を軽減しながら雇用を進めることで、中小企業でも法定雇用率の達成が可能になります。

法定雇用率の計算方法とは?実際の数値を出してみよう

法定雇用率を達成するために、企業は自社に必要な障害者の雇用人数を正確に計算することが大切です。

ここでは、基本の計算式とその具体例、さらに常用労働者・短時間労働者・重度障害者のカウント方法についてわかりやすく解説します。

計算式の解説と具体例

障害者雇用の計算は「法定雇用率」と「常用労働者数」に基づき算出されます。

法定雇用率は現在2.5%ですが、2026年には2.7%に引き上げられます。

計算式は以下のとおりです。

法定雇用率による障害者数=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×法定雇用率

例として、正社員が200人、短時間労働者が20人の企業を考えてみましょう。

まず、短時間労働者20人は0.5人分としてカウントするため、10人として計算に加えます。

したがって、この企業の常用労働者数は合計210人となります。

法定雇用率が2.5%の場合、必要な障害者雇用数は以下の通りです。

必要な障害者数=210×2.5%=5.25(小数点以下は切り捨て)→ 5

このように、企業ごとに常用労働者数をもとに算出した法定雇用率を達成することで、障害者雇用の義務を果たすことができます。

常用労働者・短時間労働者のカウント方法

障害者雇用率を計算する際、労働者の勤務形態によってカウント方法が異なります。以下がそのルールです。

※週所定労働時間10時間以上20時間未満の障害者の扱い
⇒2023年5月時点では実雇用率の算定対象となっていなかった週所定労働時間10時間以上20時間未満の重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者の就労機会の拡大のため、これらの障害者を事業主が雇用した場合に、特例的な扱いとして、2024年より実雇用率の算定対象に加えることが決定されました。

これにより、特定の状況に応じて企業の障害者雇用数をカバーできるため、制度を活用して法定雇用率を達成しやすくなりました。

正確にカウントすることで、法定雇用率達成に向けた必要人数を割り出すことが可能です。

法定雇用率未達成のリスクと納付金制度

法定雇用率を未達成の企業にはペナルティとして「障害者雇用納付金」が課される場合があります。

この納付金制度の概要と企業が未達成によって抱えるリスクについて解説します。

法定雇用率未達成企業が負うリスク

法定雇用率を達成していない企業は、経済的な負担が発生するリスクを抱えています。

具体的には、常用雇用者101名以上の企業が法定雇用率を達成していない場合、

その不足分に応じて、毎月1人あたり50,000円(年間60万円)の納付金が必要です。

この納付金は罰金ではなく、他の企業での障害者雇用促進に使われるもので、義務の代替手段として捉えられています。

しかし、企業が未達成の状態を続けると、社会的評価の低下や取引先からの信用損失のリスクも高まります。

したがって、未達成の企業は早急に雇用率達成に向けた対策を講じることが重要です。

ハローワークも法定雇用率を達成していない企業には全て訪問し、雇い入れ計画の作成命令や雇用率達成指導を行う旨を表明しています。

納付金の使途と企業にとってのメリット

納付金制度によって集められた資金は、障害者雇用促進のためにさまざまな形で活用されています。

具体的には、納付金を財源とした助成金制度があり、法定雇用率を達成している企業に対しては奨励金が支給される仕組みがあります。

たとえば、超過1人分に対して「障害者雇用調整金」として以下のように支給されます。

①対象:常時雇用している労働者数が100人を超える事業主

②条件:法定雇用率を超えて障害者を雇用している場合

③支給額:超過して雇用している障害者1人につき月額2万9千円

ただし、この支給額には時期による違いがあります:

◆令和5年(2023年)3月31日までの期間:月額2万7千円

◆令和5年(2023年)4月1日以降:月額2万9千円

この制度は、納付金を支払うだけでなく、積極的な障害者雇用への取り組みによって経済的メリットも享受できるという特徴を持っています。

総合的に考えると、企業は納付金を支払うよりも、障害者の積極的な雇用に舵を切ることが合理的な選択となります。

障害者雇用率達成のために企業が今すぐできる対策

企業が法定雇用率を達成するためには、合理的配慮の導入や助成金の活用、社内教育など具体的な対策が必要です。

ここでは、障害者雇用を推進するための実践的な対策について説明します。

合理的配慮の取り組み強化と環境整備

障害者雇用社員を進める上で重要なのは、自社への「合理的配慮」の取り組み強化です。

合理的配慮とは、障害者が働きやすい職場環境を整えるための対応です。

例えば物理的なバリアフリーの導入や、作業内容に応じた業務調整、働きやすい労働時間の設定などが含まれます。

具体例として、車いすの従業員が働くために、通路の幅を広げる改修や、リモートワークの導入を検討することが挙げられます。

企業がこうした配慮を行うことで、障害者が能力を十分に発揮できる環境を提供でき、長期的な雇用安定にもつながります。

障害者雇用のためのサポート制度と助成金

障害者雇用に関する助成金制度を活用することで、企業の負担を軽減することが可能です。

厚生労働省では、職場環境の整備や合理的配慮のための費用を一部補助する助成金を提供しています。

また、障害者が業務に適応するためのサポートを行うジョブコーチ制度もあり、初期の支援を受けながら雇用を安定させることができます。

これにより、特に中小企業は障害者雇用のハードルを下げると同時に、職場での定着率向上やコスト削減を実現できます。

助成金をうまく活用することが、中小企業にとっての効果的な障害者雇用推進に役立ちます。

障害者採用に向けた社内教育の進め方

障害者雇用を円滑に進めるには、社員全体の理解と協力も不可欠です。

そのためには、社内教育や研修プログラムを通じて、障害に対する理解を深めることが効果的です。

例えば、1人1人の障害特性に応じた支援方法や適切なコミュニケーション方法を学ぶことで、職場全体が協力しやすい雰囲気が生まれます。

具体的な対策として、月に1度のミーティングで障害者雇用に関する知識を共有したり、外部講師を招いたセミナーを開催することが挙げられます。

こうした取り組みにより、職場全体の障害者雇用に対する意識が向上し、支援体制が整います。

まとめ:自社に必要な障害者雇用率を確認し、次のステップへ

障害者雇用率制度や法定雇用率の引き上げに対応することは、中小企業にとって重要な課題です。

本記事で解説した計算方法を参考に、自社の法定雇用率を把握し、適切な対策を講じることが求められます。

合理的配慮や助成金の活用、社員教育を通じて、障害者が安心して働ける職場環境を整えることが可能です。

今後も段階的な引き上げが見込まれるため、特に中小企業は早めに準備を整えることが必要です。

障害者雇用を通じて社会的責任を果たし、企業価値を高める取り組みを進めていくことが望まれます。