WEBサイト「日本の人事部」において法政大学 現代福祉学部・大学院人間社会研究科 教授 眞保 智子(しんぼ・さとこ)先生へのインタビュー記事
障害者雇用は人的資本経営の試金石・すべての人が働きやすい職場につながる
が掲載されています(掲載日:2024/10/01)。
この記事では、法政大学教授の眞保智子先生が
■日本の障害者雇用の現状と課題
■企業が障害者雇用に取り組むメリット
について解説されています。ポイントを以下にまとめます。
障害者雇用の現状は?
障害者雇用数は増加傾向にある:
厚生労働省の調査によると、民間企業で雇用されている障害者数は20年連続で過去最高を更新しており、2023年度には実雇用率が初めて法定雇用率を上回りました。
しかし、企業規模によって達成状況は異なります。
■大企業は法定雇用率を達成している企業が多い。
■一方で、中小企業では達成企業の割合が低い
という現状があります。
精神障害や発達障害のある方の雇用が増加
2023年度の就職件数では、精神障害や発達障害のある方が半数以上を占めています。
精神障害のある方の職場定着が課題:
身体障害や知的障害のある方に比べて、精神障害のある方の勤続年数は短い傾向にあります。
これは、職場環境やマネジメントの問題が大きい可能性があるということです。
視覚障害のある方の雇用は少ない
企業側に「視覚障害者を雇用するならヘルスキーパー」という思い込みがあるかもしれません。
しかし、IT技術の進歩により、事務職やソフトウェアエンジニアとして活躍する方も増えています。
聴覚障害のある方はコミュニケーション面で配慮が必要
職場での孤立感を抱きやすく、うつ病などの二次障害を発症してしまう方もいるため、情報保障やコミュニケーションツールの利用など、特性に合わせたフォローが重要です。
下肢障害のある方はキャリア形成に課題
移動に困難があることからジョブローテーションに制約が生じ、キャリアが留め置かれている可能性があります。
知的障害のある方の雇用は進んでいる
企業が特別支援学校と連携し、職場実習を通じて採用につなげているケースが多いですが、長期的な就業には、保護者の高齢化などへの対応が課題となっています。
障害者採用と定着のポイントとは?
採用前にインターンシップを実施: 安定的な就業が可能かどうかを、企業と求職者の双方が確認することができます。
インターンシップでの見極めポイント
・就労意欲と基本的な労働習慣
・働くことに対する価値観
・体調不良時の状況とその原因、回復方法の理解
・ストレスを感じる場面や苦手なタイプの把握
定着のためのポイント
・支援者や支援機関との連携
・受け入れ側の体制づくりと風土づくり
・OJT担当者とキーパーソンの選定
・担当者を孤立させない対応
・職場にいる全員が「同僚」として迎える意識を持つ
障害者雇用が企業にもたらすメリットとは?
多様な人材の活用
能力も意欲も持つ障害のある方々と共に働くことは、これからの日本社会において重要です。
チームビルディングの促進
多様な背景を持つ人材との協働は、チームワークやコミュニケーション能力の向上に繋がります。
企業イメージの向上
障害者雇用に積極的に取り組む姿勢は、企業の社会的責任を果たすことにも繋がり、企業イメージの向上に貢献します。
人的資本経営の推進
障害者雇用は、従業員の多様性を尊重し、一人ひとりの能力を最大限に引き出す「人的資本経営」の実践と言えるでしょう。
最後に
■障害者雇用については、人事部だけで抱え込まず、労働組合や支援機関と連携: ⇒障害者雇用相談援助事業など、活用できる制度もあります。
■経営トップがメッセージを発信し、現場を巻き込むことが大切です。
■障害者雇用は、あらゆる人にとって働きやすい職場をつくることに繋がります。
このように、こちらの記事では、
「企業が障害者雇用に対する理解を深め、積極的に取り組むべき理由」
について説明しています。
ぜひご覧ください。
障害者雇用は人的資本経営の試金石・すべての人が働きやすい職場につながる