今日は、
ストーリー(物語)分析の視点とは?
というテーマでお届けしたいと思います。
僕が様々なストーリー(物語)を
大まかにどのように分析しているか、
というのをシェアさせていただければと考えております。
そもそも、「ストーリー(物語)とは何か?」
ストーリー(物語)の定義
まず、そもそも論として、
ストーリー(物語)とは何なのか?
それを定義すると、
「ストーリー(物語)とは、『主人公の行動』である」
と考えています。
例えば、オリンピックで金メダルを取った
あるアスリート競技者の物語があるとします。
でも、そのアスリート競技者が、
金メダルを目指すための行動を何も起こしていなかったら?
そこに、「物語」は生まれないわけですね。
そういった面からも、

と定義することができると思っています。
あなたの好きな映画、小説、漫画の主人公を思い出してみて下さい。
その主人公は、
「行動」
していませんでしたか?
そして、それはどんな行動でしたか?
それがまさに
「ストーリー(物語)」
だと思っています。
主人公はどうすれば動くのか?
では、主人公はどうして、その
「行動」
を起こすのでしょうか?
それは
「行動するための動機」
があるからです。
そしてそれは、
「絶対に成し遂げたい」
または
「絶対に⼿に⼊れたい」
こと、ものがある、
ということです。
これが
「行動目標」
であり、
後述する
「セントラル・クエスチョン(CQ)」
になります。
⾏動するための強い動機を与えられることで、
主⼈公は動き出し、
物語が立ち上がります。
そしてその
「強い動機を与えられる」
きっかけとなるのは、何からの
「事件・出来事」
です。
たとえば、
宇宙人が地球を侵略しにやってきた、
とか、
お姫様がさらわれてしまった、
とか
人生を諦めていたボクサーに、
チャンピオンとの試合をする機会がやってきた、
などなど、です。
それによって主人公は、
「行動」
を起こし、物語が立ち上がっていく、
という流れです。
主人公に「与えられるもの」とは?
次に、
ストーリー(物語)が展開されていくために、
主人公に与えられなければならないものがあります。
それは、
「主⼈公の⾏動を阻害する、邪魔する壁・困難(事件)」
です。
なぜ、主⼈公を⾏動させなければいけないのに
なぜそれを邪魔する壁を作るのでしょうか?
それは、
「主⼈公を葛藤させるため」
です。
葛藤とは、
⼼の中に対⽴する欲求や感情が起こって
思い悩む状態のことです。
「なぜ葛藤させる必要があるの?」
ということですが、
それは、
葛藤があってこそ、
⼈は物語に惹きつけられるからです。
主⼈公が、その葛藤とどう向き合い、
乗り越えていくのかを、読者や観客は⾒たいわけですね。
なので、スト―リー(物語)には、
【対⽴や葛藤は物語に絶対⽋かせないスパイス】
と言うことができます。
ストーリー(物語)では、
主人公に様々な事件、困難、試練が起き、
主人公は悩み、葛藤し、
それを乗り越えるために必死に行動を起こします。
それに読者や観客は惹きつけられ、ハラハラし、
何とか乗り越えられるように見守り、共感します。
ストーリー(物語)のクオリティが高ければ高いほど、
読者や観客は、もしこれが現実世界での出来事だったら、
手を差し伸べて助けてあげたくもなるでしょう。
図にすると、以下のようになります。

セントラル・クエスチョン(CQ)について
セントラル・クエスチョン(CQ)とは、
映画や本、ドラマなどのストーリーにおける、
「軸となる問い」
のことです。
恋愛ものの物語であれば、
「果たして主人公は片思いをしている●●さんと結ばれるのだろうか?」
アクションものであれば、
「果たして主人公はエイリアンの襲撃から地球を守ることができるのだろうか?」
といったものになります。
ストーリー(物語)の流れについて
次にストーリー(物語)の基本的な流れについてです。
物語においては、主人公は「間違えて」いる。
僕は、映画や小説、漫画でもドラマでも、
主人公は
「何かを間違えている」
状態からスタートすると考えています。
「間違えている」
というのは広い意味で、
「重大な何かを知らない」
などというのも含まれます。
そして物語が立ち上がり、
進んでいくに連れて、
何かのきっかけで主人公がその間違いに気づき、
新しい考え、信念や想念を抱いたり、
物語の核心となる重要な事実を知ったりして、
クライマックスへと進んでいく。
そんな流れでストーリー(物語)を捉えています。
(実はこれ、多くの人の「人生という現実」にも当てはまると思っています)
よくあるストーリー構成の
「起承転結」
で言うと、
「起」においては、
誰が主人公で、どんな性格や能力を持っていて、
その世界はどんな世界で・・・などの
「設定」
が示され、同時に物語の核心となる
「セントラルクエスチョン(CQ)」
が提示され、物語が立ち上がります。
そして、「承」の前半部分では、
「何かを間違えている主人公」
が描かれて、
「主人公が間違いに気づく事象(※ミッドポイント)」
が起きる
「承」の後半部分
に入っていき(ミッドポイントを境に「承」の後半に入る)
※ミッドポイントについては、また別記事で書きたいと思います。
そして物語が大きく
「転」じて、「結(クライマックス)」に向かっていく。
すごく大雑把に言うと、
そんな流れでストーリー(物語)を捉えています。
ストーリー(物語)の構造パターン
今述べた「起承転結」というのは、
ストーリー(物語)の基本的な構造パターンですが、
それ以外にも様々なものがあります。
ここでは3つほど、ご紹介したいと思います。
はじめ・なか・おわり
『神話の法則』(クリストファー・ボグラー著)を監訳している
ストーリーコンサルタントの岡田勲さんは、
「『はじめ』『なか』『おわり』
の3つがはっきりとした構成になっていれば、それは全て『ストーリー』になる」
と仰っています。
「はじめ」とはストーリー(物語)が始まっていくパート、
「なか」とは、ストーリー(物語)が展開してクライマックスを迎えるパート、
「おわり」とは、ストーリー(物語)がエンディングを迎えるパート、
というイメージを持っていただくと良いかと思います。
僕は個人的には、
この『はじめ』『なか』『おわり』を、
『はじめ』・・・○○で悩んでいる、または○○になりたい、○○を手に入れたい・・・などの目的(※セントラル・クエスチョン)を持った主人公が
『なか』・・・△△をきっかけに
『おわり』・・・□□になった。
とざっくりと定義しています。
(※セントラル・クエスチョンについては以下の記事をご参照ください。)

この定義を持っておくだけでも、
映画や漫画、ドラマや小説など、
様々なストーリー(物語)を、
より楽しめますし、
深く考察することができるようになります。
ドラマ・カーブ
『全裸監督』のプロデュースで有名な
ドラマプロデューサーたちばな やすひとさんが提唱するのが
この「ドラマ・カーブ」です。

①最序盤「果たして主人公は○○できるだろうか」すなわち「ここに注目してください」というセントラルクエスチョン(※)が提示される
②序盤のプチハッピー=少しいい感じになる
③(ピンチが訪れ落ちていく)ボトム=どん底の状態
④どん底からの再起
⑤ぐんぐん上昇
⑥クライマックス=CQの達成
⑦プラスα=連ドラでの次回への引っ張りや序盤で張った伏線の回収
ドラマ・カーブは上記のように説明されています。
テレビドラマなどは
この構造パターンに当てはまることが多いので、
ぜひ覚えておくと良いかと思います。
神話の法則(ヒーローズ・ジャーニー)
最後に、ヒットしている映画やドラマ、アニメなどでは
必ずと言っていいほど使われている物語のテンプレート、
神話の法則(ヒーローズ・ジャーニー)
についてご紹介します。
神話学者のジョセフ・キャンベル氏は、
世界中の全ての神話を分析して、
そこに共通するパターンを見出しました。
それは
「日常の世界から、非日常へと旅立つ。その過程で宝を獲得し、再び日常の世界に帰ってくる」
という形式です。
やや専門的ですが、
人の人生においても成り立つことが非常によくあり、
(だからこそ、神話などは人を惹きつけ、遥か昔から現在まで語り継がれている)
ストーリーをより深く楽しみ、
学びを得ていくために大いに役立ちますので、
ぜひ知っておいていただければと思います。
神話の法則は、
以下の12の構成で成り立ちます。
簡単に説明します。
①日常の世界
主人公はごく普通の、
誰もが当たり前に過ごしている日常の世界から物語がスタートします。
②冒険への誘い
そんな時にその日常を覆すような重大な事件が起きます。
その問題に対して、主人公は対処するために行動を起こす必用が出てきます。
これが「冒険」への誘いとなるわけです。
③冒険の拒絶
突然、やってきた冒険への誘いに、
主人公はためらい、迷い、拒否感が生じます。
即座に冒険に出るのではなく、
そこにためらいの気持ちが生まれることに、
我々は「自分だったらどう行動するか」などと考えるようになり、
物語にリアリティが生まれてきます。
④賢者(導き手)との出会い
主人公は、自分の成長や冒険を手助けする導き手や指導者に出会います。
彼らは英雄に知識や知恵、道具や能力などを授けます。
それによって、主人公を冒険へと送り出します。
⑤第一関門突破(戸口の通過)
主人公は、冒険の世界へと踏み出します。
未知の領域への一歩を踏み出すことで、その後の試練へ向かいます。
⑥敵・味方・試練
主人公は様々な困難や危険に直面します。
その都度、自分自身の限界を超えて成長していく過程です。
ここで、仲間たちとの出会いなどもあります。
⑦最も危険な場所への接近
主人公は最終的な目標に向かって最も困難な試練に挑みます。
これが最後の関門とも言われる部分です。
⑧最大の試練
物語のもっとも盛り上がる部分です。
主人公は、物語の中で最大の試練に挑みます。
敗北や死に瀕することがありますが、何らかの形で再生や復活を果たし、さらなる力を得ます。
⑨宝・報酬
主人公は、冒険の目的を達成し、究極の恩恵(強大な力、宝物、知恵など)を手に入れます。
⑩帰路
主人公は、手にした恩恵を持ち帰るため、故郷へと帰る道を辿ります。
⑪再生
主人公は、故郷に帰る途中で再び困難や危険に直面することがあります。
しかし、その困難も乗り越えていくことで成長します。
⑫宝を持っての帰還
主人公は故郷に戻り、持って帰った恩恵によって世界が変わることが描かれます。
主人公は改めて自分の成長を実感し、物語は終わります。
以上、これらの
■『はじめ』『なか』『おわり』
■ドラマ・カーブ
■神話の法則(ヒーローズジャーニー)
あたりを押さえておくと、
ストーリー(物語)をより楽しく、
そして深く視ていくことができるようになります。
人生の問題を物語の観点から分析し、今後の対策を立てる
さて、ここでちょっと
「人生の問題を物語の観点から分析し、今後の対策などを立てる」
ということをやってみたいと思います。
人の人生を「1つの物語」と考えて、
あなた自身や誰かのお悩みを解決するのに役立てる、
という考え方です。
例として、以下のお悩みを抱える方を挙げてみます。
ストーリー(物語)の観点から、
どのように考えて、どのような行動を取っていけば良いでしょうか?
独立を志すも、なかなか踏ん切りがつかないBさんの事例
Bさんは業績も安定している大企業に勤める会社員です。
このまま続けていれば、まず定年までは安泰。
しかし、会社の仕事がどうしても楽しくなく、理不尽なことも多い。
そこでBさんは「独立」を目指してまずは副業を始めました。
数か月して、Bさんは見事に、
空いた時間の副業で月15~20万円くらいを稼ぐことができるようになりました。
さらにそのビジネスも、
Bさんにとって非常にやりがいのある「天職」とも言えるものでした。
「会社を辞めて、本格的にこのビジネスをやっていけば、独立できる!」
と考えるようになりましたが、ここで迷いが出てきます。
Bさんには、お子様がいて、
まさに今、高校受験や中学受験などでお金が一番かかる時期だったのです。
「万が一、うまく生計を立てられないような事態になったら、子供たちに不憫な想いをさせてしまう」
「子供たちにはお金が原因で、進学を諦めるようなことだけはさせたくない」
そう考えたBさんは、
なかなか会社を辞めて独立する決断をすることができません。
しかし、子供たちが巣立つまでには、
あと10年くらいの時間があります。
でも、Bさんは、本当に天職だと思えた
その副業のビジネスを追求していきたい、
という強い想いもあり、その葛藤で揺れ動き、
苦しみを抱えています
さて、あなただったら、
Bさんにどんなアドバイスをするでしょうか?
「空き時間の副業で月15~20万円も稼げるようになったんだから、きっと成功するよ!」
などと言うのはちょっと軽々しいですよね。
会社から独立して生きていく、というのは
Bさんがこれまで経験したことのない、
未知の領域に入っていくわけですし、
何より、安定してもらえていた固定給がなくなる、
というのは、
家庭を持つBさんにはかなりのプレッシャーになることは容易に想像できます。
セントラル・クエスチョン(CQ)を統合させる
そこで、
ストーリー(物語)の観点から分析してみましょう。
まずBさんには最初、
「果たして、独立を成功させることができるだろうか?(何としても独立して、自分の好きなビジネスを追求していきたい!)」
というセントラル・クエスチョン(CQ)がありました。
そこで副業に取り組み、見事に空き時間で
月15~20万円を安定して稼げるようになったわけです。
本来ならここで本格的に独立に挑戦するために会社を辞め、
物語はCQを達成するための新しい章へと突入していきます。
しかし、Bさんにはここで、
「一家の大黒柱、そして子を持つ父としてのセントラル・クエスチョン(CQ)」
が生じて来たわけです。
それは、
「果たして、父として子供を(経済面で)無事に育て上げ、社会に巣立たせることができるだろうか?」
というCQです。
この
「1人のビジネスパーソンとしてのBさんのCQ」
と
「一家の大黒柱としてのBさんのCQ」
という、
どちらもBさんにとって非常に大切なCQが
見事に対立関係になったため、
Bさんの心に強烈な葛藤が起きて、
Bさんを苦しめているわけです。
ここから先は色々な考え方や手段があると思いますが、
1つは、
「今、対立しているセントラル・クエスチョン(CQ)を統合させてしまう」
という手も考えられます。
要するに、
「まずはあと10年間、会社員としてしっかり勤め上げて子供たちを巣立たせ、その後、独立して本当にやりたいビジネスを追求していけるだろうか?」
という新しいセントラル・クエスチョンを作ってしまうのです。
そして、そのCQをしっかりと自分の中に落とし込む。
よく考えたらこのご時世、
リストラや給与カットなどをされずに
しっかりと60歳まで勤め上げるってなかなか大変なことです。
体力も衰えてくるころですし、
精神的な健康を維持していくことも大切です。
そうすると、
・身体的な健康をキープするために、定期的に運動することを習慣にしてみる。
・ストレスマネジメントの知識を得て、実践する
・本意に反する環境の中でも、モチベーションを保つスキルを身につける。
などの新しいアクションアイテムが
見つかることもあるでしょうし、
しかもそれは、
独立したとしても役立つスキルや知識になるでしょう。
さらに、会社の外を見渡してみると、
定年後、自分で事業を始めて、
70歳、80歳でもバリバリと働きながら、
社会に大きなインパクトを与えるほどの事業を行っている人は、
実はたくさんいたりすることに気づきます。
人生100年時代においては、
60歳などまだ若かったりするのです。
その人たちのストーリー(物語)を集めておいたり、
実際に会って話を聞いたりすることで、
じっくりと60歳になってからの独立プランを
練り上げたりすることもできるかと思います。
セントラル・クエスチョン(CQ)を統合させて
自分の中にしっかりと位置付けることで、
色々とやるべきことが見えてきたり、
将来に向けて希望を持ちながら、
今、必要な準備をしっかりとやっておく、
などということができるようになります。
このように、
セントラル・クエスチョン(CQ)の統合というのは、
人生物語に煮詰まった時の有効な1つのアイテムです。
「賢者(導き手)との出会い」を作りにいく
また、ストーリー分析の観点から
別の視点での考え方や、
異なるアクションプランを作ることもできます。
物語の構造で
「神話の法則(ヒーローズジャーニー)」
のテンプレートがあったかと思います。
この神話の法則の視点で言うと、
Bさんは今、
どの段階にいるかお分かりになりますでしょうか?
そう、
「③冒険の拒絶」
ですね。
日常の世界にいたBさんですが、
「独立しよう!」
と一念発起。
自分で副業を始め、しかもそれを成功させます。
そこでいよいよ
「会社を辞め」て、冒険の旅に出よう、
と言う時に、
「③冒険の拒絶」
が起きている、と分析することもできます。
この場合、次の
「④賢者(導き手)との出会い」
をBさんの人生物語の中で創っていくことで、
独立という冒険への道を進んでいく
アクションプランも立てることができます。
具体的には、
家族や子供を抱えたまま独立・起業して、
それなりに上手くやっている人たちを探して、
何人にも話を聞いてみるのです。
そうすると、
意外にもだいたいの人が何とかなっている、
という発見があるかもしれませんし、
もしかしたら、
何らかの理由でビジネスが上手くいかなくても、
補助金や保険などを活用して、
家族はちゃんと食べさせたり、
しっかりと進学させたりする方法があったりするかもしれません。
そうすると、その話を聞いた何人かの人が、
Bさんが
「独立して自分でやっていく」
という人生物語の
「賢者(導き手)」
になってくれるわけですね。
映画やマンガのストーリーでは、
主人公は運命の巡り合わせで賢者(導き手)に出会いますが、
現実世界の人生物語においては、
自分自身の行動で、賢者(導き手)を探しにいけば良いわけです。
Bさんの場合、今の世の中では、
SNSをちょっと探せば、そのような人は簡単に何人も見つかります。
そこからコンタクトを取って、
お話を聞く機会をもらくことなど、すぐにできるでしょう。
オンラインで会話することも身近になりましたし。
前述の
「CQの統合」
では
会社員を続ける選択をしていますが、
「賢者(導き手)との出会いを作りにいく」
というアプローチでは、
独立する方向にBさんの人生物語を動かしています。
こんなふうに、
あなたの人生物語にも、
ストーリー(物語)の知識・ノウハウを使っていくことで、
様々な角度から物事を考えられますし、
アクションプランも色々と作っていくことができます。
ぜひお役立ていただければと思います。
それではここまでお読みいただきありがとうございました^^
Yosuke
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