2024年7月期・秋のドラマが次々と最終回を迎え、早くも10月期・秋の新作ドラマ情報が気になる今日この頃。
個人的に注目している秋ドラマに関する記事をいくつかピックアップしてみたいと思います。
まずこちらの記事ではTBS日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」から。
このドラマは、脚本家・野木亜紀子さんに、監督・塚原あゆ子さん、プロデューサー・新井順子さんという強力なチームによって制作されます。
過去に『アンナチュラル』や『MIU404』などのヒット作を手掛けており、その実績からもかなりの話題作となりそうな予感がします。
日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」のあらすじと考察~ストーリー展開は?(1)
では、そんな「海に眠るダイヤモンド」というドラマは、一体、どのようなストーリー(物語)になるのでしょうか?
今、把握できている情報を整理してみたいと思います。
以下がドラマ「海に眠るダイヤモンド」の概要です。
TBS 10月スタート 毎週日曜 後9:00~
ヒューマンラブエンターテインメント/戦後の“何もないけれど夢があり活力に満ちあふれた時代”を描く!
主演:神木隆之介
出演:斎藤工、杉咲花、池田エライザ、清水尋也、土屋太鳳
①物語の舞台は2018年夏・東京から
物語の舞台は2018年夏・東京から始まります。
その日暮らしのホスト・玲央(神木隆之介さん)が謎の婦人いづみ(宮本信子さん)に突然プロポーズされるところから始まるよう。
謎の婦人いづみは、こちらのYouTube動画を見る限り
番組公式YouTube(主演 神木隆之介 時代を超えたヒューマンラブエンターテインメント『海に眠るダイヤモンド』10月スタート【TBS】)より
60代くらいに見えるのですが、玲央の店で大金を使うことから、玲央もいわゆる太客として相手をするようになるみたいですね。
そして、そんないづみの誘いに乗って、長崎を訪れる二人。
フェリーで端島(軍艦島)が近づくと、いづみが想いを馳せ、涙を流す場面が描かれ、彼女の過去に何か深い思いがあることが示唆されます。
そこから1955年春、長崎県・端島での友情、家族の絆を描いた壮大な物語が描かれます。
②神木隆之介さんは一人二役に挑戦
主人公の神木さんは一人二役に挑戦。
過去パートでは「1955年の長崎は端島(軍艦島)を舞台とした青年・鉄平」
そして現代パートでは、「2018年の東京を舞台としたホスト・玲央」を演じます。
ちなみに、
「戦後復興期」とはおおよそ1945年から始まり、1950年代半ばまで。
「高度経済成長期」は1955年から1973年頃まで
が一般的な期間とされています。
1955年の長崎県・端島が描かれるということは、ちょうど戦後復興期の終わりを迎え、高度経済成長期が始まる年です。
戦後の荒廃期・復興期を乗り越え、「さあ、これからだ!」とばかりに勢いよく成長していく活況ぶりが予想されます。
そもそも、なぜ神木隆之介さんは一人二役に挑戦するのか?
ところで、なぜ作者は主演の神木隆之介に一人二役(「1955年・端島(軍艦島)の鉄平」と「2018年・東京でホストの玲央」)をやらせようと思ったのでしょうか?
70年にわたる愛と青春と友情、そして家族の壮大なヒューマンラブエンターテインメント
というキャッチからシンプルに考えると「1955年・端島(軍艦島)の鉄平」と「2018年・東京でホストの玲央」に
「何らかの血縁関係」
があることがイメージできます。
「1955年・端島(軍艦島)の鉄平」は、大学卒業後に端島に帰郷している頃のため、年齢でいうと22~23歳くらい?
一方で、「2018年・東京でホストの玲央」の「2018年」というのは、1955年から63年後。
「1955年・端島(軍艦島)の鉄平」は2018年においては85~86歳くらいと推定されます。正直なところ、生死は不明です。
東京でホストの玲央は、はっきりとは分かりませんが、25歳前後くらいでしょうか?
玲央が「1955年・端島(軍艦島)の鉄平」と親子だと言うには、ちょっと年齢が離れすぎです。
しかし前述したように、「2018年・東京でホストの玲央」が「謎の婦人いづみ」に突然プロポーズされるところから、このドラマは始まります。
そして「いづみ」は玲央を端島(軍艦島)に連れていき、2人が島に近づくと「いづみ」が想いを馳せ、涙を流すという展開。
もうここからは妄想の域を出ませんが、「いづみ」は元々、端島(軍艦島)の住人だった過去があり、どうしても玲央をそこに連れて行きたかった。
なぜ、連れていきたかったのか?それは「玲央を”誰か”に会わせたかったから」なのかな、と。
(もしくは、玲央に端島(軍艦島)を眺めながら、当時の様子を語ることで、玲央に生きる活力と気力を取り戻して欲しかった、とか。)
そして、その”誰か”というのが現在、85~86歳くらいになっている「鉄平(神木隆之介さんのもう一人の役)」
であるとすると、
「1955年・端島(軍艦島)の鉄平」は、「2018年・東京でホストの玲央」の「祖父」
と考えると今のところは一番、しっくり来るのではないかと思います。
日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」のあらすじと考察~ストーリー展開は?(2)
と、話がだいぶそれてしまいましたが、この物語は、「端島(軍艦島)の炭鉱業が栄えていた時代」と「現代の東京」を行き来しながら展開されます。
70年にわたる愛と青春と友情、そして家族の壮大なヒューマンラブエンターテインメント
とありますが、話を本筋に戻すと、どのようなストーリー展開になるのでしょうか?
端島(軍艦島)の方の鉄平は誠実でまっすぐな性格を持つキャラクターであり、
彼の兄・進平(斎藤工さん)は炭鉱夫として妻を失った悲しみを抱えています。
物語には、鉄平に思いを寄せる銀座食堂の看板娘・朝子(杉咲花さん)や、謎の女リナ(池田エライザさん)など、多彩なキャラクターが登場します。
視聴者には70年にわたる物語がどのように展開していくのか注目されるところです。
また、現代と過去のコントラストや、当時の端島(軍艦島)を再現するための映像美にも力が入れられているとのことです。
①「あの頃、人々は輝いていた」
こちらが番組公式ホームページとなりますが、トップ画面に大きく
「あの頃、人々は輝いていた」
というキャッチが出てきます。
「あの頃”も”」でもなく、
「あの頃”だって”」とかでもない。
経済的、物質的、環境的には(当時よりは)豊かで便利になったものの、どこか閉塞感が漂う私たちが生きる現代社会。
東京側の主人公であるその日暮らしのホスト・玲央(神木隆之介さん)には、映像から見る限りですが、どことなく虚無感というか、無気力感というか、活力のなさが漂い、
ある意味で現代社会を象徴するような人物像を感じさせます。
上記のYouTube動画(主演 神木隆之介 ― 70年に渡る時代を超えた愛と友情と家族の物語『海に眠るダイヤモンド』10月スタート【TBS】)
では、謎の婦人いづみが、力なく横たわる玲央に
「人生、変えたくないか」
と言葉をかけており、おそらくはこの後、端島(軍艦島)に向かうのでしょう。
そして、
「戦後の“何もないけれど夢があり活力に満ちあふれた時代”を描く!」
という番組キャッチからも、このドラマや玲央の姿と成長を通して、現代社会を生きる私たちに何かしらのテーマ(メッセージ)が投げかけられる、
そんな物語になるのではないかと考えています。
そうすると、やはりキーは端島(軍艦島)にあるのではないかと。
ということで、軍艦島について少し探ってみたいと思います。
■日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」のあらすじとお考察~軍艦島の時代背景は?~
物語の舞台の1つとなる、戦後復興期から高度経済成長期の「端島(軍艦島)」について調べてみました。
日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」の舞台の1つとなる端島(軍艦島)※無料素材使用
①戦後復興期から高度成長期の端島(軍艦島)の文化について
端島(軍艦島)は、1810年に石炭が発見され、1890年から本格的な採掘が始まりました。
戦後復興期から高度成長期にかけて、日本の近代化と経済成長を象徴する場所として独特の文化を形成しました。
まず、戦後復興期には、石炭産業が再び活況を呈し、端島(軍艦島)は重要な供給源として機能しました。
この時期、端島(軍艦島)の人口は急増し、1950年代には約4,600人に達しました。
住民たちは高い給与水準と安定した雇用を享受し、島内には小中学校や病院、商店、映画館などの生活施設が整備されていました。
また、高度成長期には、軍艦島は日本の経済成長を支える重要な資源供給地として機能しました。
住民は約5,300人に達し、当時の東京の約9倍の人口密度を誇りました。
この過密な環境は、住民同士の強い結束を生み出し、独自のコミュニティ文化を形成しました。
住民は島内でほぼすべての生活を完結させることができ、娯楽施設としてはパチンコや雀荘が人気でした。
労働者たちは「炭鉱マン」と呼ばれ、高い給与水準と安定した生活環境を享受し、互いに助け合う「全島一家」の精神が根付いていました。
実際に以下の番組公式YouTube(Youtube『#海に眠るダイヤモンド』#神木隆之介 ×#杉咲花 ×#土屋太鳳 SPインタビュー!!【TBS】より)では、
主演の神木隆之介さんが、
「端島パートは歴史があって、その時代どういう風に生きていたか、どういうものを背負って、どういう想いで過ごしていたとか表現しなくてはいけないんだなあと思うと、やはり難しいだろうなとはすごく思いました」
「環境も(島内という)密なところにいるのが、住んでいる条件もあまり体験したことのない条件だったので『どうしよう・・・難しいな』と思いました」
とコメントされています。またYouTube内の映像からもちらっと伺えますが、端島(軍艦島)の
「当時の東京の約9倍の人口密度」
「独自のコミュニティ文化」
を忠実に再現しようという野木亜紀子さん(脚本)塚原あゆ子さん(監督)新井順子さん(プロデューサー)の強いこだわりと、高いプロ意識を感じます。
そういう文化的・歴史的な視点から見ても価値の高いドラマ作品になるのではないかと期待しています。
②端島(軍艦島)の終焉
さて、そんな隆盛を誇った端島(軍艦島)ですが、1970年代初頭には石炭から石油へのエネルギー転換が進み、1974年には閉山となりました。
1974年とは高度経済成長期が終わったあたりです。
これにより、多くの住民が島を離れ、無人島となったことで、その文化も消失してしまいました。
総じて、戦後復興期から高度成長期にかけての端島(軍艦島)は、日本の近代化と経済成長を支えた重要な場所でした。
その端島(軍艦島)の閉山にあたっては、当然、様々な想いや人間ドラマがあったことでしょう。
このストーリーは
70年にわたる愛と青春と友情、そして家族の壮大なヒューマンラブエンターテインメント
ということですので、そのあたりがどのように描かれて、それが現代社会とどのように繋がっていくのか、興味の尽きないところです。
③現在の端島(軍艦島)は?
ちなみに、現在、端島は観光地として注目されており、2009年から一般の人々が上陸できるようになりました。
2023年10月5日から2024年9月23日までの期間も、多くの観光客が上陸ツアーに参加し、軍艦島の歴史や独特な景観を楽しむことができたそうです。
2015年には「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録され、その重要性が再認識されています。
端島はその外観が戦艦「土佐」に似ていることから「軍艦島」と呼ばれるようになりました。
現在も多くの観光客が訪れ、その歴史的価値や独特な建築物群を見学しています。
特に、鉄筋コンクリート造りのアパート群や廃墟としての魅力が多くの人々を惹きつけています。
④結論として
端島(軍艦島)は、戦後、焼け野原になった日本が短期間で世界2位の経済大国まで復活した
「日本の底力の象徴」
の1つであり、
「戦後の“何もないけれど夢があり活力に満ちあふれた時代”を描く!」
ことを1つのテーマとしたからこそ、その題材として、作者はこの端島(軍艦島)にスポットライトを当てたのかなと思いました。
そして現代社会をある意味で象徴するかのような玲央の存在。
ここら辺が、このドラマ(「戦後復興期から高度経済成長期の軍艦島」と「現代社会」)における
「対比」
となって現代社会を生きる我々へのテーマ(メッセージ)が投げかけられるような、そんなイメージを持っています。
日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」の考察~過去と現在の「対比」~
『海に眠るダイヤモンド』は、2024年10月からTBS系の日曜劇場枠で放送される予定のテレビドラマです。
「1955年からの石炭産業で栄えた長崎県・端島(軍艦島)」と「現代の東京」を舞台に、70年にわたる愛と友情、家族の物語が描かれます。
そして「70年」の時を経て、その2つのストーリーが繋がりを見せていくことが1つの特徴となるようです。
物語の舞台が2つの時代(過去と現在)にまたがること。
こういう場合、製作者の気持ちとしては、その「対比」を象徴的に描写したくなるもの。
ストーリーにおける「対比」の技法については以下にまとめましたのでご参照ください。
「1955年の端島(軍艦島)」と「現代の日本社会」を「対比」させる狙いは?
色々な予想ができますし、実際の放送を見てみないと分からないところが多いですが、筆者は個人的に、
「1955年(高度経済成長期の始まり)の軍艦島」と「衰退する現代日本社会」を対比させることにより、
失われた活力や情熱、未来への希望を描き出し、同時に現代社会の抱える閉塞感や無気力感の本質を浮かび上がらせるのではないかと考えています。
あえて説明するまでもなく、現代日本社会は、急激な経済成長が終わり、人口減少や少子高齢化、社会の格差拡大、若者の無気力化など、さまざまな課題に直面しています。
多くの人が抱える「将来への不安」や「無気力感」「生きづらさ」、「何を目指せばよいのか分からないという迷い」などは、
かつての高度経済成長期の「目標」や「夢」を見失った状態と見ることもでき、社会全体に活力や情熱が欠けている様子を反映しています。
おそらく、作者は高度経済成長期の軍艦島を描くことで、視聴者に「失われた活力や情熱」を取り戻す必要性を訴え、
現代社会がもう一度「未来への希望」を見つけ出すことの重要性を提示したいのではないでしょうか。
そして、高度経済成長期の軍艦島に存在した「人々の情熱」や「社会を支える活力」を振り返ることで、「現代日本が取り戻すべきもの」を視聴者に問いかけたいのでは、と。
勝手ながらそんな描写を予想(期待)しています。
日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」のタイトルに込められた意味は?
このドラマのタイトルは「海に眠るダイヤモンド」ですが、どうしてこのようなタイトルになっているのでしょうか?
まだ分からないところが多いですが、少し考察してみたいと思います。
「海に眠るダイヤモンド」の番組公式YouTubeより
以下の番組公式YouTube(主演 神木隆之介 時代を超えたヒューマンラブエンターテインメント『海に眠るダイヤモンド』10月スタート【TBS】より)では、
炭鉱夫の荒木進平(斎藤工さん)のセリフに、
「あの海の下を1000メートル掘ると、黒いダイヤモンドが眠っとる」
というのがあります。このセリフから以下、考察してみます。
①石炭の別称とは?
エネルギーが石油に変わっていく前の石炭は産業発展に重要な役割を果たしました。
そのことから石炭は「黒いダイヤモンド」と呼ばれることがあります。
これは石炭の黒い色と、エネルギー源としての価値を表現しています。
②地理的な背景と掘削の深さ
ここまで述べてきた通り、端島(軍艦島)は、かつて炭鉱で栄えた島です。
そして、島の周辺の海底に豊富な石炭層があったことで知られています。
「あの海の下を1000メートル掘ると、黒いダイヤモンドが眠っとる」
の「1000メートル掘る」とは、海底下の深い場所に石炭層があることを示唆しているのではないでしょうか。
実際、端島(軍艦島)の炭鉱では、海底下深くまで坑道を掘り進めて石炭を採掘していました。
「1000メートル」という具体的な数字は、炭鉱の規模や技術の進歩を象徴的に表現しているのではないかと考えています。
実際の採掘深さがちょうど1000メートルだったかは分かりませんが、海底下のかなり深い場所まで採掘が行われていたことは事実です。
このことから、このドラマのタイトル「海に眠るダイヤモンド」は、海底に貴重な資源としての石炭を詩的に表現したものだと思います。
そしてもしかしたら、そこに暮らしていた人々の希望や夢、そして島の恩恵を象徴しているのかもしれませんね。
いずれにせよ、今から楽しみが尽きません。
今後、追加情報があれば更新していきたいと思います。